先日、知人の写真愛好家と会った際にこんな話を聞かされた。
ある街の大きなお祭り行事を撮影に行った時、鮮やかな衣装の女性二人がビール片手にお祭りを見学していた姿が風景とマッチして魅力的だったから黙って写真を撮った。 その後で彼女たちに写真を撮ったからコンテストに応募したいと肖像権の承諾を求めたら、黙って撮ってるから盗撮だと凄まれて、お巡りさんを呼ばれたそうだ。 せっかく楽しく写真を撮りに来たのに彼はとんだ災難になってしまったし、見知らぬおじさんに写真を撮られた彼女達も気分は悪くなったはずである。 こうならないためにカメラマンはどうしたらよいのか? スマホで撮るのが当たり前となった「一億総写真家」の現代では、戦前・戦後を通じて活動した日本を代表するストリートスナップの写真家木村 伊兵衛さんの時代と同じような写真の撮り方をしていると被写体の人々に誤解が生じやすくなる。 そこで「SNS時代の写真のルールとマナー」朝日新聞出版・日本写真家協会 編のこの本でしっかり勉強しておきたい。 Q・レストランで撮った芸能人をブログに載せてもいいか? Q・公園で遊んでいる親子に声を掛けて写真を撮った。暗黙の了解でその写真をコンテストへ応募する際、肖像権の扱いはどうすればよいか? Q・許諾を得ない後ろ姿をSNSに投稿したら盗撮行為や肖像権侵害になるか? Q・街でスナップをしたら「何で撮るの?」と言われて慌ててしまった。この時の対応はどうすべきか? 答えはすべて本に書いてあり、他にも60項目以上の質問と答えが掲載されている。 人物を撮る場合、仕事で撮影する時は子どもから大人までいちいち被写体に断ってから撮る必要はないが、 仕事ではない時にスナップ写真を撮るとなるとやっぱり初めに「撮らせて下さい」と声を掛けた方が無難だ。 黙って自然な瞬間を撮りたいという写真愛好家がいるが、私はむしろ逆で相手が了解してくれれば、そこから自分が自由なシチュエーションやポージングをさせて撮っても自然な瞬間が撮れるはずだと思っている。 もし私が町を歩いていて、見知らぬ人からカメラを向けられ撮影されたらやっぱりいやな気分になる。 人物写真は双方の善意と被写体の人たちへの思いやりの気持ちが大切である。 一眼レフを持った写真愛好家の人はほとんどの人が写真コンテストに応募する目的で撮影している。 その次の延長に写真展や写真集を出したいと夢を広げて行く。 ところがスマホの人たちの大半はそうではなくお店で食べた料理を撮ったり、日常の出来事をメモ代わりに撮ってSNSにアップするのが目的となっているため、プリントする事はほとんどない。 お互い目的は違っても写真を撮る行為は同じだから、プロは特にアマチュアの模範になるようにマナーはしっかり守らなければいけない。 本の中で写真家の田沼武能さんが「写真は現在を撮る事は出来るが、過去を撮る事は出来ない。 後世に伝えなければならぬ現代人の暮らしの証言は、いま写真に撮っておく必要がある」と綴っておられる。 現代社会で撮影がやたら制限されるスポーツ競技が出て来た。新体操、水泳、ビーチバレー、チアダンスなど肌の露出が多い種目である。 今度は甲子園の高校野球もSNSのアップ禁止となってしまった。 今月末から始まる新潟県の高校野球も撮影出来なくなったら私はもうカメラマンをやめたいと思っている。
by chonger58
| 2017-04-20 00:03
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